12/22 雪の中の多肉植物女仙(メセン)

黄金の座(こがねのざ)Delosperma nubigenum(ハマミズナ科) 

原産南アフリカ ケープ州 この数日の寒波によって美しい紅色に染まって初雪の白さとの対比が絶好。

 関東以南では夏の高温多湿で一雨にして消滅するか弱い植物だが、少雨乾燥清涼低温の小諸の気候にもってこいの植物です。春には1,5cmの小さな黄色の花を一面に咲かせ、あたかも黄金の絨毯の如し。故に黄金の座と命名しました。

 s-1 「黄金の座」クライミングが最適のポジション s-1 美しく変身した「黄金の座」

 

 カプロブロツス エデュリスCarpobrotus edulis(ハマミズナ科)

原産 南アフリカ。アメリカへは1900年代初頭北米カリフォルニアに鉄道を敷設したとき 線路の法面(土手)の安定を目的とし、原産地南アフリカ共和国より導入したのが始まりである。その生育、繁殖は風土にマッチしていたため、匍匐する枝より発根し、数年で広大な面積を覆った。Edulisとは 果実が大きく食用になることによる。花はピンク〜黄色の大輪。

 

 本種は関東地方ではかろうじて越冬するが小諸では未知数。来春見事な花をつけることを願っています。

s-2 雪の中の紫色 Carpobrotus edulis

コメント / トラックバック2件

  1. admin より:

    の「雪の中のメセン」がとても美しかったので、たまらずに今日、見に行きました
    雪が残っていなくて、赤と白の対比は見れませんでしたが、実際に生で見ると外観との相乗効果で特別に心を揺さぶるものがあったように思います
    本当に植物を好きな人が、丹精込めたガーデンなんだなと…
    暮れも迫って、寒さも一段と増してきました。風邪などひかぬよう、お体には十分ご留意ください。(I)
     

  2. admin より:

    先のメールにてお知らせした「雪の中のメセン」ご覧になり さっそくガーデンにおいでくださりありがとうございます。

    残念ながら 既に雪は溶けて 赤い黄金の座と純白の雪との光景はご覧になれなかったとのこと。
    落胆するには及びません。 この植物は寒中寒さが極限に達したときが最高の美しさになるのです。
    雪と氷に閉じ込められたルビーかエメラルドの輝きのごとく幻想的光景になる時、是非ごらんください。

    これら耐寒性メセンについて サキュレント(NPO法人日本多肉植物植物の会)会報2009年12月号に記載した記事の抜粋をおおくりしますが長文につきお付き合いください。
    ご参考になれば幸甚に存じます。
    今年も数日で終わろうしています。 春以来のご厚情を感謝し 来年も健康で植物と共に良い年でありますようご祈念申し上げます。停車場ガーデン園芸主任 中村勝廣

    甲信支部例会より《7》 耐寒性女仙類    長野県No0092  中村勝廣   G125 (写真がここには掲載できません。すみません)

    § 特集 女仙シリーズ  No 3

    ◇ Delosperma デロスペルマ属  ◇ Malephora マレフォラ属

    多肉植物の中の大きなグループの一つとしてメセンブリアンテマ類があります。この長い名前を略してメセンとし、さらに女仙の漢字をあてたことは、絶妙、脱帽の極みです。以前は Mesembryanthemaceae 称していま したが Aizoaceaes に改めました。 因って古く親しまれた Mesembryanthema(メセンブリアンテマ) の名称は消滅したかに見えましたが、中の一属の Mesembryanthemum(メセンブリアンテムム) にあって、我ら女仙愛好家は安堵しました。

    日本では以前ツルナ科と称していたが、近年ハマミズナ科と改められた。

    このメセン類(以下メセンとする)を多肉植物園芸では便宜上、以下のように分けているが、メセン類は最低度多肉葉から最高度多肉葉まで連続しているので、境界は不明瞭である。他方、花が鑑賞に適しするか否かを分けるのも実際には無理である。メセンコレクターは花の大小、葉の厚い薄いは基準にならず、珍品種、稀種はそれが蒐集の対象になるからです。

    1,玉形女仙類 (タマガタメセン)葉の多肉化が高度に進み球状に近くなったグループ 「高度多肉葉女仙」1,Arugyroderuma (アルギロデルマ) 2,Conophytum (コノフィツム) 3,Didymaotus (ディディマオツ ス) 4,Lithops (リトープス) 5,Gibbaeum (ギブバエウム) 6,Muiria (ムイリア)

    7,Pleospilos (プレオスピロス) 8,Tanquana (タンクアナ) など

    2,準玉形女仙類 (ジュンタマガタメセン)形態は1、には至らずとも1,準ずるグループ 「高度多肉葉女仙」1,Antegibbaeum (アンテギブバエウム) 2,Bijilia (ビジリア) 3,Glothyphyllum (グロッテイフィ ルルム 4,Schwantesia (スクワンテシア) 5,Aloinopsis (アロイノプシス) 6,Nananthus (ナナントゥス) 7,Titanopusis (ティタノプシス) 8,Acrodon (アクロドン) 9,Faucaria (ファウカリア) 10,Odontophorus (オドントフォルス) 11,Sutomatium (ストマティウム) 12,Vanheerdea (ウ゛アンヘエルデア) 13,Berugeranthus (ベルゲラントゥス) 14,Cheiridopsis (ケイリドプシス)

    3,花もの女仙類(ハナモノメセン)「低度〜中度多肉葉女仙」 すべてメセンの花は多数の花弁と、シルクのような光沢を放つ。太陽の光を浴びて輝くメセン独特の色彩美は、筆舌に表しがたい。中でもこのグループのものは特に美しい花を群開する。

    1,Antimima (アンティミマ) 2,Braunsia (ブラウンシア) 3,Carpobrothus(カルポブロツス) 4,Cephalophy

    llum(ケファロヌィルルム) 5,Delosperuma (デロスペルマ) 6,Dorosanthemum (ドロサンテムム) 7,Erepsia

    (エレプシア) 8,Esterhysenia (エステルフィセニア) 9,Lampranthus (ランプランツス) 10,Malephora (マレフォラ) 11,Marlothistella (マルロティステルラ) 12,Oscularia (オスクラリア) 13,Ruschia (ルスキア) 14,Tricodeadema (トリコデアデマ) など。

    4,潅木女仙類(カンボクメセン) 幹を立て、枝を打って時には横臥し、あたかも低い潅木のごとく繁茂する。花が特に美しく群開する花もの女仙に重複するものも含む。

    1,Arenifera (アレニフェラ) 2,Astridea (アストリデア) 3,Amphibolia (アムヒボリア) 4,Delosperuma (デロスペルマ) 5,Dorosanthemum (ドロサンテムム) 6,Erepsia (エレプシア) 7,Eberlanzia (エベルランジア) 8,Esterhysenia (エステルフィセニア) 9,Lampranthus (ランプランツス) 10,Namaquanthus (ナマクアンツス)

    11,Oscularia (オスクラリア) 12,Ruschia (ルスキア) 13, Mestoklema(メストクレマ) 14,Tricodeadema (トリコデアデマ) など。

    ◇ 耐寒性女仙
    1,〜3,のような分け方は1970年頃には既に愛好家間では知られていました。しかし、今回のテーマ、耐寒性女仙の呼称はなく、定義も不明確です。強いて言うなれば、「小諸で露地植えの女仙が防寒しなくても越冬する種。」とします。

    メセンは低温に驚くほど強く、マイナス2〜3度程の低温で軽く凍結しても太陽の直射光線を遮りできるだけゆっくり溶かして行けば組織を壊す事なく戻ります。

    この程度は属や種によって強弱があり、一般に多肉葉の高度のものほど弱い傾向にあります。すべてのメセンの耐寒試験を行った訳でないので今までの経験などを元としましたが信州小諸の我家は標高650メートル程で、最低気温はマイナス15度くらいになり、数年に1〜2回マイナス17,8度の日もありました。ただしこの地方は降雪は少なく一冬に30センチの積雪は10回以内で、日当たりは溶けて地面は出ています。

    関東の内陸部でマイナス10度位と推測すれば、この5度の格差で耐寒メセンの種類は急速に増大すると思われます。更に実験、研究の余地があります。

    Delosperuma デロスペルマ「属名は、見える種子。種子が朔果の中の覆いのない小室に露出していることを指す。原産 南アフリカ ケープ州、トランスバール、バストランド、オレンジ自由州、南ローデシア、ナタール、北東アフリカ、アビシニア、などに約130種。一年草、二年草、小型の低木から草本。中にはコーデックス《caudex>(塊根、又はゴボウ状に太る)のものもある。

    明瞭な幹をもつものは立ち上がり枝を打ち、小潅木となるもの。多数の枝を出して横臥し這うもの。小型の株となるものは根が太るもの。などがある。花は2〜7センチの直径。花弁は1〜5センチの長さ。赤、紅、紅紫、白、クリーム黄色、黄金色。など。既に耐寒マツバギク(この名は間違いで、マツバギク属はLampranthus ランプランツスの事であり耐寒マツバギクとして市販されているものは後述の Delosperma cooperi(Hook,f,)L,Bol,である。)の名で販売されていて、Delospermaの多くのものは耐寒すると思われるが次に上げるものはすべて耐寒種。

    1,Delosperma ashtonii L,Bolus 《caudex> 「花長谷」(ハナハセ) 原産。トランスバール オレンジ自由州、ナタール。6〜10センチの小さな潅木。葉は4,5センチの長さのボート型。表面にに細かい硝子状突起を連ねる。花は4,5センチの輝く紫桃色の美花。休眠した株は、地下の塊根より春の成育開始と同時に多数の生長点を作り1〜2対の小葉を出し、先端に着蕾し一斉に開花する様は見事。色彩が紫の強い桃色なので鮮烈の極み。順次赤く染めた節と節の間は2〜3センチで枝を出しつつ着蕾する。

    2,D,carolinense var,compacta L,Bol, 《caudex>「花御室」(ハナオムロ)種名のカロリネンセは地名にちなむ。原産、トランスバール、カロリナ。変種名のコムパクタは緊密の意。
    《caudex》 原産、オレンジ自由州、 地下に塊根を作る。枝は短く、葉は4〜5センチの長さ、5〜9ミリの幅。本属特有の乳頭状突起は目立たなくむしろ平滑。生長しつつ着花。夏期には5,6センチ露地植えは更に伸びて10センチ以上になる。花弁は薄い藤桃色で3〜3,5センチ、美しく外側にカーブする。沙坐蘭に似るが本種は葉が平滑、「沙坐蘭」は乳頭状突起が顕著でザラザラした肌。花も似るが若干花弁が多い。昭和40年渡来。

    3,D, caroliense var,compacta L,Bol,f,albiflorus《caudex>「白花花御室」(シロハナハナオムロ)  花弁は白。清楚で美しい。茎は赤みを帯びない。

    4,D, cooperi(Hook,f,)L,Bol, 「麗光」(れいこう)「花嵐山」(はならんざん)(種名のクーペリーは人名にちなむ)原産 オレンジ自由州。柔らかい枝を盛んに分枝して地面を這い石垣などから垂れ下がる。葉は柔らかく長さ,5センチ位、巾、厚さ共に5ミリ位の円筒状。緑色に細かい乳頭状突起を連ねる。冬、休眠期には赤褐色になる。

    花は直径5センチ位。桃紫色でメセン特有の絹のような光沢が顕著。多花性。昭和58年正木五郎氏が導入。マイナス20度の軽井沢でも越冬する驚異的耐寒力と春から秋まで続いて開花、霜が降っても開花する強靭な性質。虫も病気も皆無。地面と日光があればどこでも生育する。全植物中このようなものは珍しい。グラウンドカバーに最適な植物。

    5,D,ecklonis var,latifolia L,Bol, 世界の園芸家の熟知する英国のトンプソン&モーガン社より2000年春種子を入手し直ちに蒔いてたくさんの苗を作り、庭のあちこちに植えました。日当たりの十分でない場所のものは徒長し、節間も伸びて着蕾もまばらです。日当たりの良いミニロックガーデンのものは期待どおりのコンパクトに生育。春の見事な開花はご覧のとおりです。  しかし、標題の学名のものと写真の植物は合致しないかも知れません。

    同社は創立149年のキャリアをもつ世界のT,& M,と 言われた老舗です。カタログに記載されている植物は樹木、潅木、一年草、二年草、宿根草、球根植物、観葉植物、は勿論、サボテン、多肉植物。野菜に至るまでのありとあらゆる植物2000種類の種子が記載されています。種類の多さもさることながら、正確さも約150年の信頼の積み上げにあります。トンプソン&モーガン社より多種類の種子を購入して蒔く事30有余年のお付き合いで今日に至っております。同社、2000年カタログの74ページには以下のごとく記されています。

    DROSPERMA Aizoaceae; ecklonis var,latifolia

    約10センチ、南アフリカ産の太陽を愛する花! クッション状になるシルバーグリーンで多肉多汁の葉と、中心が黄色の明るい紫の花が特徴 ロックガーデンや小道のエッジング、ボーダーによい。

    このスペルは かのH,Jacobsen; Lexicon of Succulent Plantusの同項目にあるものと全く同じで一字の間違いもありません。しかし、その本文には葉は長方形ないし、卵形、楕円形で10〜27ミリの長さ、7〜14ミリの幅。花は約2センチの直径。紫桃色 

    とあります。T,& M,の植物は一言で表せばD,cooperi(Hook,f,)L,Bol,を約半分の葉と花を小さくしたものです。花は花弁がパッと平開するので可愛らしく、色も濃い紫桃色です。

    6,D,sutherlandii(Hook,f,)N,E,Br,《caudex> 「沙坐蘭」(サザラン)種名のサザランディーは人名にちなむ。 原産 トランスバール。ナタール。根は塊根で5〜7センチ,長く伸びる。数本の長さ5〜8センチ枝を出し葉は長披針形のボート型。上面はへこみ、下面は膨らむ。顕著な乳頭状突起に覆われザラザラした感触、柔らかく鮮緑色。5〜8センチの長さ、2センチの幅。2〜3センチの枝を出して頂に一花を付ける。枝は春の開花時は短いが、夏期には10センチ以上に伸びて横臥し、分枝しつつ開花する。

    花は6〜7センチ。花弁の基部白色で先端にかけて薄い紫桃色。1962年渡来。

    白花D,sutherlandii(Hook,f,)N,E,Br,var,,albifiorrus 「白花沙坐蘭」がある。

    7,D,lydenburgense L,Bol,var,lydenburgense 種名のリデンブルゲンセは地名にちなむ。原産、トランスバール、リデンブルグ。枝は横臥する草のメセン。枝は高さ20センチの長さで倒れ這う。茎は堅く太さ5〜7ミリ若い新生部はガラス状の細かい突起が連ねてキラキラと美しい。葉は細い棒状で直立し内面はv型にへこみ、外面は突出する。葉の全面は極微細な乳頭状の突起になりベルベットの感触で滑らか。

    対生する葉の先端に一花を開花、両脇より分枝し着蕾、開花を繰り返す。多花であるにも拘わらず枝が伸び這うので広い面積の露地植えに向く。

    花は2〜2,5センチで花弁はやや粗い。紫桃色。冬期、地上部は無残な枯れ方。春と共に枝の基部より発芽、急速に成長し開花する驚異的メセン。グラウンドカバーに好適。

    8,D,nubigenum (Schltr,)L,Bol,「黄金の座」(コガネノザ) 種名のヌビゲヌムは「雲のような」「雲のように広がる」の意。原産、オレンジ自由州、地上を這まわるメセン。大豆位の大きさの丸みの三角形。現地では節間は無く、数珠状。日光不足、多湿、等で節間が現れ1〜1,5センチまで伸びる。節より発根して芝状、マット状に広がる、花は直径1,5〜2センチの黄色。春の開花は植物全体を覆うごとくの一面の黄金色は壮観。

    特筆すべきは冬の極寒期には赤色に染まって美しく、乾燥、寒気、日光によってより濃赤色になり素晴らしい。冬も鑑賞できる耐寒メセンの推奨種。

    ロックガーデンに最適。岩石の凹凸を覆って垂れ下がる赤い絨毯は春には黄緑色に、そしてクライマックスは黄金の座となる。

    10,Trichodiadema hallii L,Bol, 種名のハルリイはリンネの弟子 Bergen Martin Haalliにちなむ? 原産、ケープ、カロー。草丈6センチの矮小な潅木。茎は4ミリの太さ。葉は13〜18ミリ、4ミリの直径。先端に茶色で長さ3ミリの束刺がある。黄色を帯びた緑色。花は46ミリの直径、うす桃色。中心白。成育はやや緩慢。

    11,Malephora lutea (Haw,) Schwant, 属名のマレフォラは意味不明。乞う一報。

    種名のルテアは黄色の(花)意。 原産、ケープ、カロー、立ち上がる潅木メセン。

    やや柔らかい茎は乱立する。葉は2,5〜4,5センチの長さ、4ミリの太さ。棒状。

    帯黄青色で本属特有の白粉ワックスで被覆される。花は2,5センチの直径。開花時はすんだ黄色。末期はオレンジ色に変わる。枝が粗いので一面の花、とは行かないが純粋のきいろはすがすがしい。

    このほか耐寒力のあるメセンは多数あるが今回はその中で普及したものあるいは普及しつつあるものをあげてみた。 病害虫など皆無で乾燥に強く平面、斜面に好適の良いことずくめの植物。

    昨今の園芸はロックガーデンやワイルドフラワーなどに人気がありエコロジープランツガーデンにはこれら植物に注目すべきである。